ベトナム滞在記 nis

Practicing Aikido in Vietnam by N

ホーチミン市の空港に着くと、10人余りの人たちが迎えに来てくれていた。み
んな友好的な、素敵な笑顔ではじめての土地で緊張していた心が一瞬にして解れ
た。自分たちを歓迎してくれているというのが、ひしひしと伝わってきた。この
瞬間、今回の滞在の成功は約束されたようなものだった。

今回の旅での発見の一番の発見は、中尾さんは実はすごい人なんだということ
だった。本部の先生が講習会に来たときそのままで、技がどんどん決まるし、広
い道場に映えるのだ。それがとてもかっこよくて、ああ中尾さんはすごい人だっ
たんだと今更ながらに遠くから見ていた。せいぶ館12年目の真実だ。

そして、そのすごさというのは、道場の中に止まらない。その後の食事の席で
も、いかんなく発揮されていた。というのも、現地の人が笑いの渦に包まれてい
るなと思って目を転じると、そこには必ずと言ってもいいほど、中尾さんの姿が
あったからだ。

今は亡き吉祥丸道主が全日本演武会の最後に行なう説明演武で、「合気道は円
い動きなのだ」と、いつもおっしゃっていた。言うなればそれを道場の外でも、
実践しているのだ。
(ただ、円運動ということは、遠心力も発生するわけで、この12年の間に跳ね飛
ばされて行ってしまった人が出なかったわけではないだろう。)

ベトナムの人と合気道をしていて、resilientという英語のことばを連想した。
英和辞典を見ると、「弾力のある;はね返る;たちまち元気を回復する;快活な、
はつらつとした」といろいろな語義が挙がっている。竹のようにまっすぐ、素直
で、たわんだ竹がすぐ元通りの姿になるように、しなやかな合気道なのである。

また、武道・護身術も盛んで、同じ体育館で、合気道以外にも、柔道、空手、
ボクシングなどの人々も練習していた。みんなひたむきに、何かを学ぼう、身に
つけようとしている。だから、他の武道をしている人たちが自分たちの武道の稽
古が始まるまでの時間も、不思議そうに、あるいは興味津々われわれの稽古風景
をながめる姿が散見された。そして、それがベトナムのエネルギーであり、その
力の源泉なのだと思った。

これまで、私は合気道をやめることを考えている時間の方が、続けることを考
えている時間よりも圧倒的に長かった。しかし、今回の旅で「合気道をやってい
てよかった」と心の底から思える体験をした。そして、この夏はこれまでの人生
の中で、間違いなく最良の夏の一つとして、永く私の記憶に留まることだろう。
最後に、このような機会を作ってくれた中尾さん夫妻と、Khoa先生をはじめとす
るKansha道場のみんな、それから命がけで8車線の道路を一緒に渡ってくれたK氏
に心から感謝したい。

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