合気道 神戸せいぶ館|合気会|笑顔があふれる楽しい道場

Fw: 2018全日本合気道演武大会エッセイ kam

東大のある本郷の住宅地、坂をのぼりきると敷地いっぱいに建てられた古めかしい杉板の壁の建物があった。今年は手ごろな値段で泊まれる旅館を見つけ、そこに泊まることにした。
重要文化財に指定された、100年を超える木造の建物だった。
玄関にはたしか、視覚障碍者柔道連盟歓迎との文字があった。
玄関を入ると、さっそく親しげな笑顔で迎えられた。部屋は8畳だった。
荷物を置いてからすぐに食事をしに外に出た。在京の友人に安くてうまいというイタリアンバルに案内してもらった。閉店まで、めいっぱいに楽しんだ後に宿に戻った。少し休んでから風呂に行った。貸し切りだということで、広い浴場を独占できた。夜も遅かったので他に入ろうとする人もいなかったようだった。とても快適であった。
風呂から出て廊下を見渡すと、夜も更けていたので旅館の中はひっそりとしていた。
暗がりの中、音をたてないようにして少し探検してみた。何か、親戚のとても古い大きな家に泊まりに来たような感じだった。壁には複雑な透かし彫りの木の飾りが、廊下は一面に黒い小石を埋め込み、木の切り株のようなものが庭の飛び石のようにはめ込んであった。
すべてのものが久しぶりに見るような建物だった。この古めかしい日本の文化を感じさせる宿は、実は外国人にもかなりの人気らしかった。
一階の廊下の壁には芸能人のサインや写真が所狭しと張り付けてあった。天海祐希、加山雄三、妻夫木聡…、そうそうたる顔ぶれの芸能人達がサインを書いていた。やはり、いい旅館を見つけたのだと思った。
そのサインの先に雰囲気の違う部分を見つけた。のぞき込むと柔道パラリンピック代表の集合写真が並んでいた。どうやら、旅館を挙げて視覚障碍者柔道を応援しているらしかった。玄関の歓迎の看板を思い出した。
障碍者武道。少しはっとした。それから、これこそが日本の誇る文化じゃないのかと思った。

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