全日本演武会に参加して
今回、初めて参加させていただきました。道主をはじ各先生方の演武、各道場の 演武を見ることができました。演武会に参加した人は皆、合気道を続けているこ とを誇りに感じた一日であったと思います。 演武会前日、初めて本部道場へ稽古に行きました。とても緊張しました。更衣室 で一緒になった女性に“神戸のせいぶ館から来ました。よろしくお願いします。 ”と挨拶したところ、“今日、稽古をする人は決めていますが、もしその人が来 なかったら、一緒に稽古しましょうね”と言われ、本部道場では稽古相手をあら かじめ決めておくルールがあるのだと知りました。森師範の稽古が始まり、私は 隣にいた若い女性と稽古をしました。そのあと、かなり経験のありそうな女性が 加わり3人交代での稽古となりました。座技が多く、膝が悲鳴をあげました。 次の時間はいよいよ道主の稽古です。休憩時間に元せいぶ館メンバーのNさんと 話していると、岡本洋子師範が道場に入って来られました。『武道は世界を駆け めぐる』を読んで、すっかり岡本先生のファンになっていた私はドキドキしまし た。Nさんが、“挨拶に行こうよ!”と私を引っ張っていきました。岡本先生は “せいぶ館からは何人演武に来られるの?中尾先生の奥様も来られるの?”と聞 いてくださいました。私はお話が出来ただけでも大感激だったのですが、Nさん が、“先生、今日の相手は決まっていますか?そうでないなら、彼女と稽古して もらえませんか?”と頼んでくれました。大事な演武会の前日に私なんかと稽古 では申し訳ない、と思いましたが、口から出てきた言葉は“よろしくお願いしま す!”でした。この稽古の後は立てなくなってもかまわない、最後まで全力で稽 古しよう!決死の覚悟で臨んだ私でしたが、岡本先生は私の技量に合わせて技を かけて下さいました。正面打ち入り身投げ、横面打ち四方投げ、横面打ちこて返 し、正面打ち一教、二教、三教、四教とどんどん技が変わっていきます。ところ が、天地投げ、岡本先生は全く動きませんでした。びくともしません。何とか切 り口を探しているうちに終わってしまいました。最後の座技呼吸法も何度もあき らめてしまう私に、“下を向かない。相手を見る。ここからがおいしいところな のよ!そこで体重を乗せていく!ここでやめてどうするの⁈”とご指導頂きまし た。稽古が終わって、“今日はありがとうございました。反省することばかりで す”と挨拶すると、岡本先生は一瞬 “はぁ?”という顔をされて、“ではまた 明日!”と爽やかに出ていかれました。 ホテルに戻って考えました。あの “はぁ?” はどういう意味だったのか な?と。“勉強になりました。” というべきだったのかな?と。天地投げ、ど うしたらできるのかな?と。 他の技も課題は山積みですが、“ここからがおいしいところ、ここでやめてどう するの⁉”という岡本先生の言葉を合気道そのものに拡大解釈して稽古しよう! と思いました。この日は私の誕生日でもあり、岡本先生に大きなプレゼントを頂 いたのだと思います。 演武会の翌日、再び本部道場へ稽古に行きました。金沢師範に続き道主の稽古に 参加し、記念に道場で写真を撮ってもらって帰路につきました。また来よう!と 思いながら。