改めて誘っていただいた事に大変感謝しております。同行した皆様、そして「kansha」道場の皆様に本当に感謝です。
毎回食べきれない程の量の食事。そして稽古の後は、氷入りのビールで宴会。「kansha」道場の皆さんが、末席の私にまで気を使って楽しんでもらおうという暖かい気持ちがひしひしと伝わりました。
「kansha」道場の方が用意してくれたのは、いわゆるスイートルーム。落ち着かない程の広さがありました。
2日目の午前、観光で統一会堂という南ベトナム時代の旧大統領官邸に連れていってもらったのですが、驚いた事に、3階の大統領執務室と寝室より、用意してくれてた私の部屋の方が広くて立派でした。おまけに、私の部屋のテーブルには毎日新鮮なフルーツ。食べ方が分からず、結局最後まで手をつけられませんでしたが…
滞在中、最も印象的だったのは、3日目のパーティーでたまたま隣り合わせた、翌日昇段審査を受けるというチーさん(男性、40歳前後)との会話でした。
私が大学でドイツ哲学を専攻してたというかことに対して、
「西洋の哲学は、一神教に基づいているので我々アジア人には理解しずらいんじゃないか?」
いきなり核心を突かれました。おっしゃる通り私にはサッパリ分かりませでした。
「西洋の思想は頭で考えるだけだけど武道は身体を使う。だから私は武道を選んだ。」と、チーさん。
私は、ただただ恐れ入るばかりでした。その後は質問の嵐。何故、空手をやってたのに今は合気道なのか?何故、ベトナム語の勉強をしているのか?ベトナムの何に惹き付けられてるのか?等々。私にとっても深いテーマ。拙い英語ともっと拙いベトナム語を駆使して、一生懸命喋ったのですが、言葉よりも先に気持ちが通じた様な気がしました。
翌日、審査前の午前の稽古で、チーさんと腰投げをご一緒させていただきました。見事な腰投げでした。私の受けが下手なのを一瞬で見抜き気を使わせてしまいましたが…
昇段審査、チーさんだけでなく皆さん本当に立派でした。
審査後、このときの為に、ホテルのフロントの人相手に散々発音練習を繰り返した「おめでとう!」というベトナム語に「ありがとう」と、チーさんは満面の笑顔でベトナム語で答えてくれました。
今回のセミナーを通して、今後自分の成すべき道が見えてきた様な気がします。衰えていく身体と頭に抗い、コミュニケーションツールとしての合気道と言葉のをもっともっと上達させなければいけません。次回はもっとまともな技で、もっとちゃんとした言葉でコミュニケーションを取りたいと思ってます。若い彼らに負けない様、精進する所存です。